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TRIGGER DISC REVIEW vol.6 羊文学

  • 執筆者の写真: TRIGGER FES
    TRIGGER FES
  • 2018年8月19日
  • 読了時間: 6分

更新日:2019年6月8日

こんばんは。

昨日は過ごしやすい気温で、涼しい風が秋の訪れを知らせるかのように通り過ぎて行きました。

夏の終わりを感じたとたん寂しくなってしまいますよね。


ところで昨日公開された "TRIGGERスタッフが選ぶ Summer Anthem 2018" はもうご覧になったでしょうか?まだの方は是非こちらから。


さて今回は先月リリースされた羊文学の新譜をご紹介。夏が終わってしまう前に必聴です!



若者たちへ / 羊文学 7/25 release 

📷


 3人組オルタナティブロックバンド、羊文学から1st Albumのリリース。

夏をテーマに描かれた楽曲と、タイトル通り私たち若者と呼ばれる世代に是非聴いてほしい、この夏色んなことを考えるきっかけになるようなアルバムだと思います。  音楽的なレビューは他サイトでしっかりした大人がたくさん書いているだろうし、全曲解説はかったるいので、羊文学を愛する平凡大学生の私が聴いて思ったことをただただ綴る駄文にどうかお付き合いください。 もはやディスクレビューでも何でもないですが、こういう聴き方もあるんだと、そして読んでくれた人が羊文学の音楽を聴くきっかけになれば幸いです。。


 最初を飾るのは「エンディング」。まずアルバムの一曲めから「エンディング」という曲でスタートするその感じも、やっぱり好きと思ってしまいますが、ドラムの一音一音にも息がこもっているような静けさの中で、サビから一気に盛り上がるところなど、美しい音色と儚くも芯のあるボーカルが引き立って鳥肌立ってしまいます。

 そんなシューゲイザーチックな1曲目から一変、「天国」はあっけらかんとしていて、なんともチャーミングな、日常の中の天国を思わせるナンバー。

地上から天国に〈そっちはどう?/ 調子はどう?〉〈クーラーガンガンで布団にくるまってアイス食べる感じ?〉と問いかけては、〈それじゃ大差ないね!〉と一蹴してしまう。なんだかその気持ちよさに心づけられるようです。

ちょっとレアなDr.のフクダさんのコーラスやアラーム音、様々な声で重ねられる音やVo.塩塚さんのこぶしやキュートな歌、一つ一つが曲の素材となっており、たまらなく愛おしくてアルバムの中でも何回も聴いてしまう一曲です。


 「絵日記」は、夏らしい言葉がちりばめられる中で、私たち若者が生きる日常の儚さや刹那、その後悔のようなものが夏と重ねられていて、シンプルで美しいメロディーにのせられた歌詞が心の上をスッとなぞってトゲをとってくれるかのようです。  甘くて冷たくて一瞬で私を幸せにしてくれるアイスクリームも簡単に溶けてなくなってしまう。毎日毎日その日にあった出来事を絵日記に描いていると、気がついた頃には夏休みもおわってしまう。宿題も終わらないまま、会いたい人ややりたいこと、夏の間にやりきれないことなんて考えなくてもたくさんあったと思ってしまう。  たくさん時間を与えられる夏だからこそきっと色んなことに一喜一憂して、限られた時間の中でたくさん葛藤を繰り返して眩しい一夏を終えると、また少し大人に近づくのだなあと、そんなことを考えてしまいました。

 このアルバムを通して曲ごと見える夏の情景が様々だなと感じていて、特に「夏のよう」で描写される情景に私はすごく惹かれてしまって、夕暮れになってもジリジリと暑い夏の夕暮れに日が落ちて寂しくなるような心に染みる曲だなと、近所の小学校の校舎に日が沈んで空が赤くなっていくのを眺めながら思いました。



「ドラマ」

 私はこの曲が本当に大好きで、このアルバムが出るのをずっと楽しみにしていました。 羊文学が出演してくれた「TRIGGER FES 2018」で、渋谷WWWのあの綺麗な照明を浴びた彼女たちの生のステージを観ながら聴いた時に色んな思いが溢れてきて、



〈青春時代が終われば / 私たち、生きてる意味がないわ〉


という歌詞をあの場で聴いた時、ああ本当にその通りだ、と思って心打たれてしまったんです。


 羊文学のライブに対する純粋な感動と企画に対する思いが相まって溢れたその時の感動を今でもよく覚えているんですけど、冷静になって考えれば別に青春時代が終わっても生きてる意味はあると思うんです。でもそういうことじゃなくて、確かに私たちが生きている若き青春時代が終わったら、その頃できていたことも気づけばできなくなって、学校の帰り道に制服を着た私たちはくだらないことで頭がいっぱいで、たわいない会話で大笑いして、夕暮れの空の色に感動して、そういうことってきっと青春時代にしかできない。

いくらでも希望があった時代が終われば、自分で考えて選んで人生を作っていかなきゃなくなる、そんな今だからこそ持つ夢は今やるしかなくて。青春時代がどこからどこまでかなんてきっと自由で、大人になっても青春は存在すると思います。

でも私たちが若者として生きている一瞬一瞬は本当にどこを切り取ってもかけがえのない、簡単に壊れてしまうものだから、日々はとてもドラマチックでその時は気づかなくても本当はすごく大切な一面の積み重ねなんだとそんなことを思いました。




「コーリング」  イントロを聴いた瞬間から何か心が掻き立てられる感触があって、曲を通してもなんだか自分の中で隠れた熱い気持ちが湧き上がってきては前向きな気持ちになれる曲で、なんでも出来る気がして、笑いながら明日のことを考えてワクワクして、何かやらなきゃいけない気がして自分の未来に足早に駆けたくなる一曲です。

この曲も大好きな一曲なのですが、特別この曲が3人の音と気持ちが揃っているように感じるんです。厚みのあるベースと、巧みなドラムさばきで一層曲の展開も迫力を増し、歌詞の主張もより厚みを増した、胸に届くものになっているように感じます。この曲の歌詞に背中を押される人は私以外にもきっといるはず。

 ものすごくライブの最後に聴きたい曲、そしてきっと生で聴いたら泣いてしまうような「若者たち」。普通こういうゆっくりな曲って難しいと思うんですけど、羊文学のこういう曲は張りつめている空気さえ美しくて本当に強みだなあと感じます。

 最後をさわやかに彩るのは、心も晴れ晴れとした気持ちになる「天気予報」。優しいアルペジオから始まりまさにハッピーエンドを思わせる、羊文学の中でたぶん最もポップな曲です。



希望の風に優しく頬を撫でられているようで楽園の中にいるかのような感覚になります。そんな曲中でも途中でギターの轟音が入ってくる感じもたまらないです。   MVはもう見た人も多いと思いますが、このMVに出てくる羊文学の3人の絵がすごく良いのです。特に塩塚さんとゆりかさんがワンピースを着て笑いながらスローでふわふわしている、あの可愛らしさと幻想的な世界が最高なのでまだ見てない方は是非!


8/20には代官山UNITでワンマンが決まっている羊文学。

私ももちろん行きますが、このアルバムの曲が聴けるかと思うと本当に純粋に楽しみです。彼女たちの音源を聴いたら是非ライブに足を運んでみてください、そこでしかみれないものがあります。一瞬で虜になって、釘付けになってライブをみていた私のように、羊文学の音楽がたしかに自分の生活を支えて救ってくれる、そんな体験がどこかの誰かにありますように。


📷

 羊文学 『若者たちへ』

felicity 2018.07.25 Release 

¥2,400+tax

Listen & Buy:Spotify / Apple Music

羊文学official HP:https://hitsujibungaku.jimdo.com/

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